COLUMN

賃貸の更新と引っ越し、どっちが得?家賃7万円で比べた「差が埋まる月数」

2026.10.15

コラム

賃貸の更新と引っ越し、どっちが得?家賃7万円で比べた「差が埋まる月数」

賃貸の更新と引っ越し、どっちが得?家賃7万円で比べた「差が埋まる月数」

※画像はイメージです

結論:更新と引っ越しのどっちが得かは、「引っ越しで余分にかかるお金」と「家賃が下がる額×これから住む月数」を比べると見えてきます。家賃7万円の計算例では、引っ越しで余分にかかるのは約18万円。家賃が月1万円下がるなら、約18か月住めば差が埋まる計算です。逆に、家賃がほとんど変わらないなら、更新して住み続けたほうが出費は少なくなります。※金額はすべて仮定の計算例で、実際の費用は物件・契約により異なります。

目次

  1. 更新と引っ越し、どっちが得?比べ方の結論
  2. 更新するとき、何にお金がかかる?
  3. 引っ越すとき、何にお金がかかる?
  4. 家賃7万円なら、どっちが得?計算例で比べる
  5. 何か月住めば、引っ越したほうが得になる?
  6. 更新料は払わないといけない?
  7. 引っ越すなら、いつ動くのがいい?
  8. 更新と引っ越しで、よくある疑問は?
  9. 迷ったときのチェックリスト

更新と引っ越し、どっちが得?比べ方の結論

比べるのは、次の2つだけです。

  • A:引っ越しで余分にかかるお金(引っ越しの費用 − 更新の費用)
  • B:家賃が下がる額 × これから住む月数

Bのほうが大きくなりそうなら、引っ越しを考える価値があります。Aのほうが大きいなら、更新して住み続けたほうが出費は少なくなります。

大事なのは「あと何年その部屋(または次の部屋)に住むか」です。IETTOでは、更新か引っ越しかを決める前に、まず住む期間の見通しを決めることをおすすめしています。

更新するとき、何にお金がかかる?

更新のときに払うことが多いのは、次の3つです。どれも契約書に書かれている内容で決まります。

  • 更新料:家賃の1か月分前後と書かれていることが多いお金(金額は契約書によります)
  • 火災保険の更新:2年ごとなど、契約期間に合わせて入り直すケース
  • 保証会社の更新料:保証会社を使っている場合、1年ごと・2年ごとに払うケース

国土交通省の「令和7年度 住宅市場動向調査」では、三大都市圏の民間賃貸住宅に入居した世帯のうち、更新時のお金(この調査での項目名は「更新手数料」)が「ある」と答えたのは44.4%でした。半分近くの世帯で、更新のときにまとまったお金がかかる契約になっていることがわかります。※1

逆にいえば、更新のお金がない契約もあります。契約書に更新料の定めがなければ、更新のときに更新料を請求されないのが原則です。まずは手元の契約書を確認してみてください。

引っ越すとき、何にお金がかかる?

引っ越しでは、新しい部屋の契約時のお金と、引っ越しそのものの費用がかかります。

  • 敷金:退去時に、未払い家賃や原状回復の費用などを差し引いて返ってくる性質のお金(民法622条の2)※2。ただし入居のときには一度、現金で用意する必要があります
  • 礼金:返ってこないお金。同じ調査では「礼金あり」は43.1%※1
  • 仲介手数料:居住用の賃貸の仲介では、貸主・借主から受け取る合計の上限が家賃1か月分+消費税と決まっています(国土交通省の告示)※3
  • 前家賃・日割り家賃:入居する月・翌月分の家賃
  • 保証会社の初回保証料・火災保険・鍵交換など
  • 引っ越し業者の代金:時期や荷物の量で大きく変わる

今の部屋を出るときの退去費用も忘れずに。何を払う必要があるかは、退去費用、払わなくていいのはどれ?でまとめています。初期費用の内訳は引っ越しの初期費用、いくらかかる?もあわせてどうぞ。

家賃7万円なら、どっちが得?計算例で比べる

家賃7万円の部屋で、2年ごとの更新を迎えた場合を仮定して比べます。敷金は返ってくる性質のお金、前家賃はどちらを選んでも払う家賃なので、比べる対象から外しています。

項目 更新する 引っ越す
更新料(家賃1か月分と仮定) 70,000円 —
礼金(1か月分と仮定) — 70,000円
仲介手数料(借主が1か月分+税を負担する場合) — 77,000円
保証会社(更新料/初回保証料) 10,000円 35,000円
火災保険(2年分) 20,000円 20,000円
鍵交換 — 20,000円
引っ越し業者の代金 — 60,000円
合計 100,000円 282,000円

※すべて説明のための仮定の金額です。実際の金額は物件・契約・時期・荷物の量により異なります。退去費用、旧居と新居の家賃が重なる期間(二重家賃)は含めていません。
※仲介手数料は、借主から受け取れる額が家賃0.5か月分+消費税(この例では38,500円)を超える場合、依頼を受けるときに借主の承諾が必要とされています※3。承諾がなく0.5か月分+税となる場合、引っ越し側の合計は243,500円、差は約14.3万円になります。管理会社が直接募集している部屋など、仲介手数料がかからない・少額のケースもあります。

この計算例では、引っ越すほうが約18万円多くかかります。この18万円を、家賃が下がった分で取り戻せるかがポイントです。

何か月住めば、引っ越したほうが得になる?

目安は、次の式で計算できます。

差が埋まる月数 = 引っ越しで余分にかかるお金 ÷ 下がる家賃(月)

上の計算例(余分にかかるお金 18.2万円)に当てはめると、次のようになります。

新しい部屋の家賃 下がる額(月) 差が埋まるまで
7万円(同じ) 0円 お金の面では埋まらない
6.5万円 5,000円 約36か月(約3年)
6万円 10,000円 約18か月(約1年半)
5.5万円 15,000円 約12か月(約1年)

※18.2万円を下がる額で割り、小数第1位を四捨五入した目安です(36.4→36、18.2→18、12.1→12)。次の部屋でも更新料がかかる場合や、引っ越し後の通勤費などの変化は含めていません。

家賃が同じか少し下がる程度なら、更新したほうが出費は少なくなります。一方で、通勤時間が大きく短くなる、広さが合わなくなったなど、お金以外の理由がはっきりしているなら、引っ越しを選ぶ価値があります。お金と暮らしの両方で考えるのがおすすめです。

更新料は払わないといけない?

まず、契約書に更新料の定めがなければ、更新のときに更新料を請求されないのが原則です。

契約書に更新料が書かれている場合はどうでしょうか。最高裁判所は2011年7月15日の判決で、1年ごとの更新で家賃の約2か月分の更新料を定めた条項について、その事案では有効と判断しました。その理由として、更新料の額が契約書に明確に書かれ、当事者が合意していたことなどが挙げられています。一方で、家賃の額や更新の期間に照らして高すぎるといった特別な事情がある場合には、消費者契約法10条により無効となる余地があるとも示されています。※4

つまり、ある契約の更新料が有効かどうかは、契約書の書き方や金額などの事情によって判断されます。金額に納得できないときは、ひとりで抱えずに専門家や相談窓口に確認してみてください。

まずは契約書の「更新」の項目で、次の3つを確認しましょう。

  • 更新料の金額(家賃の何か月分か)
  • 更新の手続きと、火災保険・保証会社の更新の有無
  • 解約の予告期間(退去の何か月前までに伝えるか)

なお、更新しない(退去する)と決めたら、契約書に書かれた予告期間までに管理会社や大家さんへ伝えます。予告が遅れると、住まない期間の家賃がかかることがあるため注意が必要です。

引っ越すなら、いつ動くのがいい?

国土交通省によると、引っ越しの依頼は3月から4月に集中し、特に3月の引っ越し件数は通常月のおよそ2倍になるとされています。※5更新の時期が春と重なる場合は、少し早めに動いて混雑を外すと、日程の選択肢が広がりやすくなります。

更新か引っ越しかを決めるなら、更新の時期の3〜4か月前から、次の部屋の家賃の目安を調べ始めると落ち着いて比べられます。東京のエリアごとの住まい選びは東京住まいガイドにまとめています。

更新と引っ越しで、よくある疑問は?

更新のタイミングで家賃を下げてもらえる?
家賃の額は貸主と借主の合意で決まるため、交渉そのものは可能です。応じてもらえるかは物件の状況によります。近くの似た条件の部屋の募集家賃を調べたうえで、感情的にならずに相談するのが現実的です。

更新のお知らせはいつ来る?
契約期間が終わる数か月前に、管理会社や大家さんから案内が届くことが一般的です。時期は契約によって異なるため、契約書の「更新」「解約の予告」の項目を確認しておくと安心です。案内が届いてから慌てないよう、早めに見通しを立てておきましょう。

更新料がない部屋もある?
あります。先ほどの調査でも、更新時のお金が「ある」と答えた世帯は44.4%で、半数以上はそれ以外の回答でした※1。更新料の有無は地域や物件によって差があるため、次の部屋を探すときは、募集条件の「更新料」の欄も見ておくと総額を比べやすくなります。

「法定更新」って何?
契約期間が終わるときに、期間満了の1年前から6か月前までの間に更新しない旨の通知がされなければ、前と同じ条件で契約が更新されたとみなされる仕組みです。このとき、更新後の契約は期間の定めがないものになります(借地借家法26条1項)※6。法定更新になったときの更新料の扱いは契約書の書き方によって異なるため、個別の確認が必要です。

迷ったときのチェックリスト

  • あと何年、今の部屋(または次の部屋)に住む予定?
  • 次の部屋で、家賃は月いくら下がりそう?
  • 今の契約の更新料・保険・保証会社の更新はいくら?
  • 引っ越しで余分にかかるお金 ÷ 下がる家賃 は何か月?
  • 通勤・広さ・周りの環境など、お金以外で変えたいことはある?

数字を書き出すと、「なんとなく引っ越したい」が「この条件なら引っ越す」に変わります。ひとりで決めきれないときは、気軽に相談してみてください。

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出典・注釈

※1 国土交通省 住宅局「令和7年度 住宅市場動向調査」(2026年7月公表)民間賃貸住宅入居世帯・三大都市圏。更新手数料「あり」44.4%、礼金「あり」43.1%(経年変化比較表)。調査上の項目名は「更新手数料」で、本記事でいう「更新料」とは呼び方が異なる場合があります。https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000248.html

※2 民法622条の2(敷金の返還等)。

※3 宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号)第四。居住用建物の貸借の媒介では、依頼者の一方から受け取れる額は、依頼を受けるにあたって承諾を得ている場合を除き、借賃の1か月分の0.5倍に相当する額+消費税相当額以内。最新の告示の内容は国土交通省の公表資料をご確認ください。

※4 最高裁判所 第二小法廷 平成23年7月15日判決(更新料条項の有効性)。

※5 国土交通省「引越時期の分散に御協力をお願いします!~3月の引越件数は通常月の約2倍!~」(2026年1月28日)。https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000349.html

※6 借地借家法26条(建物賃貸借契約の更新等)。

※本記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の契約内容によって扱いは異なります。金額はすべて仮定の計算例で、将来の家賃や費用を約束するものではありません。2026年10月時点の情報です。

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