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退去費用、払わなくていいのはどれ?壁紙・鍵交換・クリーニングの負担を国のガイドラインで確認

2026.10.12
コラム
退去費用、払わなくていいのはどれ?壁紙・鍵交換・クリーニングの負担を国のガイドラインで確認
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※画像はイメージです
結論:普通に暮らしていてできた壁紙の日焼けや家具の跡などは、原則として借主(入居者)が払う必要はないとされています(民法621条・国土交通省ガイドライン)。借主が払うのは、うっかり付けた傷や掃除不足による汚れなど。ただし契約書に「特約」があると扱いが変わるため、まず契約書を見るのが近道です。
この記事でわかること
- 退去費用、払わなくていいものは何?
- 壁紙(クロス)は全額払うもの?
- 鍵交換・ハウスクリーニングは誰が払う?
- 東京で借りている人が知っておきたい「東京ルール」とは?
- 請求書を受け取ったら、どこを見ればいい?
- 退去費用で困らないために、入居前にできることは?
退去費用、払わなくていいものは何?
2020年4月に施行された改正民法621条で、「通常の使用でできた傷み(通常損耗)」と「年月がたって古くなること(経年変化)」は、借主の原状回復の対象に含まれないと明記されました。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、こうした修繕費は家賃に含まれていると考え、貸主の負担としています。
| 原則、貸主負担になりやすいもの | 借主負担になりやすいもの |
|---|---|
| 日差しによる壁紙・畳の変色 | タバコのヤニ・臭いが付いた壁紙 |
| 家具を置いていた床のへこみ | 物を落としてできた床の傷・へこみ |
| 冷蔵庫・テレビの裏の電気ヤケ | 掃除をしなかったことによる台所の油汚れ・カビ |
| 画びょう・ピンの小さな穴 | くぎ穴・ネジ穴(下地ボードの張り替えが必要なもの) |
| 設備の寿命による故障 | ペットによる柱の傷・臭い |
※国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」の例をもとに整理。実際の負担は契約内容や部屋の使い方により個別に判断されます。
壁紙(クロス)は全額払うもの?
借主の不注意で壁紙を汚した場合でも、全額を払うとは限りません。ガイドラインでは、壁紙の耐用年数を6年とし、6年で価値が1円になるまで少しずつ下がっていく考え方で負担割合を出します。
国土交通省の参考資料では、入居4年で退去した場合、借主の負担は約33.3%という計算例が示されています。張り替える場合でも、借主の負担は原則として傷や汚れのある一面分までです。
畳表・ふすま紙・障子紙は「消耗品」として扱われ、年数による減額の考え方は使われません(借主が傷めた場合は、年数による減額がない点に注意)。
※出典:国土交通省住宅局「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に関する参考資料」(令和5年3月)。負担割合は一例で、実際の金額は工事内容・単価により異なります。
鍵交換・ハウスクリーニングは誰が払う?
鍵交換:ガイドラインでは、鍵をなくしたり壊したりしていない場合の交換は、次の入居者のための管理上の費用として「貸主負担が妥当」とされています。
ハウスクリーニング:借主が普段どおり掃除をしていれば、専門業者による清掃費は原則として貸主負担です。ただし実際には「退去時クリーニング費用は借主負担」とする特約を付けている契約もあります。
特約が有効とされるには、ガイドライン上、次の3つがそろっている必要があります。
- 特約が必要で、暴利的でないなど合理的な理由がある
- 借主が「通常より多く負担する」ことを理解している
- 借主がその負担に合意している(意思表示をしている)
「金額や範囲が契約書に具体的に書かれ、説明を受けて署名した」かどうかが目安になります。
東京で借りている人が知っておきたい「東京ルール」とは?
東京都では2004年10月から「賃貸住宅紛争防止条例(通称:東京ルール)」が施行されています。都内の住宅の賃貸借で宅地建物取引業者が仲介などをする場合、退去時の原状回復の考え方や、入居中の修繕の負担について、書面を渡して説明することが求められています。
契約のときに受け取った書類の中に、この説明書面があるはずです。退去前に一度読み返しておくと、請求内容を確認しやすくなります。
※出典:東京都「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」。
請求書を受け取ったら、どこを見ればいい?
国民生活センターによると、賃貸住宅の原状回復に関する相談は2025年度で14,711件。2023年度13,273件、2024年度13,312件から増えています。
請求書や見積書を受け取ったら、次の3点を確認しましょう。
- どこを・どれだけ直すか(場所・面積・数量)が書かれているか
- 入居年数による減額(壁紙なら6年の考え方)が反映されているか
- 特約で決めた項目と、それ以外の項目が分けられているか
説明に納得できないときは、明細と根拠を書面でもらいましょう。それでも話がまとまらない場合は、消費者ホットライン「188」から近くの消費生活センターに相談できます。
※出典:国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブル」(PIO-NET登録件数、2026年5月31日時点、消費生活センター等からの経由相談は含まない。最終更新2026年7月31日)。件数は今後変わる場合があります。
退去費用で困らないために、入居前にできることは?
退去時の負担は「出るとき」より「入るとき」の準備で変わりやすいものです。
- 契約前に特約欄を読む:クリーニング費・鍵交換費の金額が書かれているか
- 入居した日に写真を撮る:壁・床・設備の傷を日付つきで残す
- 気になる傷は管理会社に伝えておく:メールなど記録が残る方法で
- 退去の立会いでは、その場でサインを急がない:明細を受け取ってから確認する
引っ越しの初期費用もあわせて知りたい方は「引っ越しの初期費用、いくらかかる?内訳と抑えるコツ」、ふたり暮らしの部屋探しなら「同棲の部屋選びで後悔しやすい3つのパターンとは?」も参考にしてください。東京のエリアごとの家賃や住まい選びは東京住まいガイドにまとめています。
【参考】国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」/国土交通省住宅局「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に関する参考資料」(令和5年3月)/民法621条・622条の2/東京都「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」/国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブル」
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の契約・請求については、契約書の内容や専門家・相談窓口にご確認ください。記載内容は2026年10月時点の情報です。
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